今回は、意外と間違いの多い「same」の使い方について
おさらいしたいと思います。
「same」の意味・品詞・用法
「same」は「形容詞」「代名詞」または「副詞」として用いられ、
形容詞⇒「同じ、同じような、変わらない」
代名詞⇒「同じもの、同じこと」
副詞⇒「同様に」
という意味を表します。
この中で、特殊であるのが「形容詞」の用法です。
形容詞の用法:名詞の前(限定用法)
まず通常は、形容詞として用いられる場合「名詞の前において修飾する」ことが多いということです。
(これを文法では「限定用法」と呼びます)
さらにロングマン英英辞典やケンブリッジ英語辞典では、「名詞の前のみで」用いると表記されています。
(参照;ロングマン英英辞典)
(参照;ケンブリッジ辞典)
このことからも、基本的には名詞の前で修飾するもの、と思ってよいかと思います。
例文)
- We went to the same college.
(私たちは同じ大学出身です)
- Everyone was in the same room.
(みんな同じ部屋にいた)
- Can you come at the same time tomorrow?
(明日同じ時間に来れる?)
ちなみに、限定用法のみをとる形容詞は意外とたくさんあり、
daily(毎日の)、favorite(お気に入りの)、only(唯一の)、main(主な)、financial(財務の)
などがあります。
(他にも、elder / former / latter / utmost / total
upper / middle / lower / inner / outer / indoor / outdoor など)
形容詞の用法:名詞の前以外(叙述用法)
では、名詞の前以外では本当に使わないのかというと、
実際はそうではありません。
- Their test scores are precisely the same.
- Those buildings look the same.
- Our relationship stayed the same.
などがその例です。
実はいくつかの辞書では、「same」は名詞の前だけでなく、
補語として用いる場合(叙述用法)もあるとされています。
たとえばweblio辞典では、
とされており、
コリンズ英語辞書でも
のような例文が形容詞として載っています。
このことから、後ろに名詞をとらない「the same」については、
それを形容詞ととるか、代名詞ととるかで、意見が分かれているようです。
また、
- look the same: look pretty / look angry / look happy
- stay the same: stay calm / stay hungry / stay big
と同じなのだから、形容詞なのではないか?と思うかもしれませんが、
これらの動詞は
- look a fool / look a kind person / look an interesting book
- stay friends / stay a good girl / stay a controversial figure
のように、すぐ後ろに名詞もとることができるのですね。
注意すべきは、形容詞として用いられる場合でも、定冠詞の「the」を伴って用いられるという点です。
これは通例、慣用的なものであるとされ、
どちらにしても「the」と「same」は切り離せないのです。
代名詞の用法
さて、上でも少し触れましたが、「same」の代名詞としての使い方です。
こちらも「the」を伴って「the same」とセットで用います。
例文)
- The same can be said for entrepreneurs.
(同じことが起業家にも言えるだろう)
- She joined the book club. You should do the same.
(彼女は読書会に入ったわよ。あなたも入るべきよ)
また、先に説明した形容詞の叙述用法として扱われていたような場合でも、
ロングマンやケンブリッジ英語辞典では代名詞としても扱われます。
- Lucas and his brother look the same.
(ルーカスと彼の兄はそっくりだ)
- Things couldn’t be the same after such an accident.
(あんな事故の後では色々変わってしまった)
他の辞書も調べたところ、このような文では「the same」は代名詞と考えることが多いようですが、
これを代名詞ととるか、形容詞ととるかは、解釈の仕方によるようです。
副詞の用法
最後に副詞としての「same」の使い方です。
「同じように~する」という時に用います。
例文)
- Our parents treat us the same.
(うちの両親は私たちを同様に扱ってくれました)
- You need to dress the same as others.
(他の人と同じ服装でなければなりません)
「same」に「the」がつく理由とは?
そもそも、形容詞にしろ代名詞にしろ、なぜ「the」がつくのでしょうか?
それは「same」の意味とリンクしています。
定冠詞の「the」はもともと「that」からきており、「あれ」を意味していました。
「あれだよ、あれ」と日本語でもいうように、「あれ」は話をしている両者がどちらも見れる、
どちらも知っているものを表します。
つまり、「共通の認識」を表す語なのです。
(不定冠詞の「a / an」はこの逆で、共通の認識下にない、特定でないものを表します)
さて、「same」とは「同じだ、同様だ」という意味ですが、
これが「何と同じなのか」というのは、両者間で共通の認識があってこそ成り立つ話です。
「same」は、「何かと何かを比べた時に同じだ」ということを表すのですが、
例えば、「あの人隣町の田中さんとそっくりだね」と言われても、知らなければ
「誰やねん」となって話が通じません。
このように「same」とは「共通の認識があるもの」の土台の上に「同じ、同様だ」という意味をなしているのです。
このことから、「共通の認識があるものにつく冠詞」である「the」がセットのように用いられるというわけなのです。
「the」なしでも使える?
では、「the」なしでは全く使えない、ということかというと、
例外はいくつかあります。
これらは、主に口語で用いられます。
- same here
「same here」は、「me too」と同様、「私も同じだよ」ということを表すときに用いる慣用句です。
A: I am so disappointed. (がっかりだよ)
B: Same here. (私も)
- same as always / usual
「same as always / usual」は、「いつもと同じ」という意味でよく使われる表現ですね。
A: How was your day? (共同だった?)
B: Same as usual. (いつもと同じだよ)
- same to you
「same to you」は、あいさつなどの返事に「あなたもね!」という意味で用います。
A: Have a nice holiday! (良いお休みを)
B: Same to you! (あなたもね)
- same for 人
「same for 人」は、注文などの時に「~にも同じものを下さい」という意味で使われます。
A: I’ll have a BLT sandwich. (BLTサンドイッチ下さい)
B: Same for me, please. (私も同じものをお願いします)
また非常に例外的に、ビジネスにおいて領収書や商用文などで、
かたく「前述のこと・もの」を表すときに「the」を用いずに用いることがあるようです。
以上、the same についてでした。