今回は、あまり知られていない「that節の原形動詞」について

おさらいしたいと思います。

 

「that節」の中の動詞が原形になるとき

 

「that節」の中の動詞が原形になるのは、

【仮定法現在】という文法が使われるときです。

実は、この「仮定法現在」は用いられる場面が非常に限られているために

他の仮定法に比べて、あまり教えられていません。

 

まずはこの「仮定法現在」をおさらいしましょう。

 

「仮定法現在」とは何か

 

「仮定法」というのは「ある事柄を仮定して述べる」時に用いるもので、

例えば「~だったらよかったのに」のような、

現実とは反対のことを表す時に使われます。

 

「仮定法現在」はこの仲間で、「現在・未来についての仮定・想像を表すもの」です。

特徴として、「動詞は原形」を用います

 

しかし、現在ではこの「現在・未来についての仮定・想像を表す」時は

「直説法現在形」を用いることのほうが一般的となっているため

「仮定法現在」に出くわす機会は非常に少なくなっています。

 

「仮定法現在」

If it rain, we will cancel the event.

→現在ではほぼ使われない

 

「直説法現在形」

If it rains, we will cancel the event.

(雨天時には、イベントは中止とさせて頂きます)

 

このように、通常は「直説法現在形」が使われるようになったのですが、

現在でも「仮定法現在」が用いられる時が2つあります。

 

それが、

・提案、要求などの動詞 + that節

・必要性を表す形容詞 + that節

という2つのパターンになります。

 

仮定法現在:提案、要求などの動詞 + that節

まず例文を見てみましょう。

 

– My father suggested we visit Poland next time.

(父は次はポーランドに行こうと提案した)

 

ここでは、主文は「suggested」と過去形を使っていますが、

that 節では「visit」と動詞の原形を使っています。時制の一致が起こっていません。

これは「仮定法現在」が用いられているためです。

「次はポーランドに行く」という未来の仮定・想像について話しているのです。

 

この用法は、suggest、demand、request、require、proposeなどの

提案、要求、希望などの意味の動詞の後ろに来るthat節の中でよく用いられ、

動詞は原形、時制の一致も受けない、というルールになっています。

つまり主節が過去形でも、that節の中は原形動詞のままです。

 

ただし、日常的には「仮定法現在」を用いずに動詞も原形にならないことも多く、

「仮定法現在」を使うとよりフォーマルな印象になります。

 

I suggest that Mike eats less junk food. ←よりカジュアル・一般的

He requested that I help him. ←よりフォーマル

 

その他例文:

– It was required that all participants arrive on time.

(全参加者が時間通りに到着しなければならなかった)

 

He proposed that the old system be used instead.

(彼は代わりに古いシステムを使うという提案をした)

 

The therapist says the demand that we be happy undermines our lives.

(そのセラピストによると、私たちが幸せであるべきという要求が、私たちの生活を脅かしているという)

 

ちなみにイギリス英語ではthat節の中に「should」を用いることが多いとのことです。

その場合はそもそも後ろの動詞は原形になるので、あまり難しくないかと思います。

 

She suggested that we should have another meeting.

(彼女はもう一度打ち合わせするべきだと提案した)

 

仮定法現在:必要性を表す形容詞 + that節

さて、仮定法現在のもう一つのパターンを見てみましょう。

 

It is important that this report be submitted by tomorrow.

(このレポートが明日までに提出されるというのが重要です)

 

suggestなど提案系動詞の後ろのthat節以外にも、仮定法現在が使われるもの、それは、

「It is 形容詞 that ~ 」の形で、この形容詞が

essential、 important、 necessary、 proper、 vital などの

「必要性」を表す形容詞が来るとき、後ろのthat節の中の動詞が原形になります。

こちらも「~するべき」といったニュアンスの場合が多いですね。

 

ちなみに、イギリス英語では仮定法現在を使わず直説法を用いる場合が多くなります。(=原形不定詞を用いない)

つまりはどちらを使ってもOK↓

It is necessary that she speak in her own words.

It is necessary that she speaks in her own words.

(彼女は自分の言葉で話す必要がある)

 

その他例文:

– It is essential that all employees be responsible for their tasks.

(従業員全員が、自分の仕事に責任を持つことが不可欠である)

 

– It is important that he talk honestly to his family.

(彼が正直に自分の家族に話をすることが大事だ)

 

It is vital that early detection be made.

(早期に決定することが必須である)

 

 

以上、仮定法現在についてでした。

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