「I came home really tired」と聞いて
ふと疑問に思いました。
「tired」って形容詞だよな。なんで後ろについている?
「tiredly」の「ly」省略?などと一瞬思ったのですが、
調べたところ、これが「準補語」と呼ばれるものだというのが分かりました。
ちなみに副詞の「-ly」省略はこちら↓
【補語】とは何か
まず、補語とは何でしょうか。
「補語」とは、「主語、または目的語の状態を表す・説明するもの」です。
例えば、
– I am happy. →(私は幸せであるという状態を表す)
– I am a teacher. →(私は教師であるという説明をしている)
ここで「happy」「a teacher」は、「主格補語」と呼ばれ
主語と=(イコール)で結ばれるものです。
つまり、
I = happy
I = a teacher
と表せるということです。
一方、
– I find you very attractive.(あなたがとても魅力的だと説明)
– He makes me sad.(私が悲しい状態)
では、「目的格補語」と呼ばれ、
目的語と=(イコール)で結ばれます。
つまり、
you = attractive
me = sad
と表せます。
これを「補語」と呼びます。
【準補語】とは何か
「準補語」とは、補語の役割で使われるものの、その補語がなくても文が成立する場合に、それを「準補語」と呼びます。
主格の補語として使われているものを「準主格補語」、
目的格の補語として使われているものを「準目的格補語」と呼びます。
– She married young. →(She = young)
– I drink coffee black. →(coffee = black)
通常の「補語」は、それなしでは文が成立しません。
例えば
– I am.
– I find you.
補語を取ってしまった上の文は意味が通じません。
(ここでの「find」は「見つける」ではなく「~だと思う」という意味)
しかし、準補語の用いられる分は、準補語がなくても文が成立します。
– She married.
– I drink coffee.
このように、なくても文が成立する為に一般的な「補語」とは異なるものの、補語の役割をするものを「準」という言葉をつけて「準補語」と呼んでいるのです。
【副詞】との違いは?
この2つの文の違いは何でしょうか?
– He arrived safe.
– He arrived safely.
上は準補語、下は副詞です。
上の意味は「彼が別状なく無事な状態で到着した」です。
こちらは「彼=無事」ですので、
例えば戦争に行っていたけど、無事に帰ってきた、なんて時はこちらの方を用いることが出来ます。
下は、副詞は名詞以外を修飾するものですので、動詞を修飾、
つまりsafely は arrived を修飾し、「彼は無事に到着した」となります。
例えば道中に強盗にあったとか、道中に乱闘に巻き込まれたとかなく
「着くこと=安全」であった、といったニュアンスがあります。
日本語にすると基本的には意味は同じで、文法上はどちらも問題ありません。
但し上のようなニュアンスの違いから、
例えば、般的によく使われる「社長は無事に成田空港へ到着しました」は、
(社長の健康状態ではなく、特段の支障なく到着したという意味なので)
「The president arrived safely at Narita airport」となります。
さて、まだ問題があります。
文頭で述べた、
1. 〇 I came home tired.
2. ✖ I came home tiredly.
文法的にはどちらも問題ありません。
しかし、2.が使われることはほぼありません。なぜでしょうか。
上は、家に着いたときに「疲れている」状態だったということを表しています。
下は、「家に着くまでの道中疲れながら帰ってきた」というようなニュアンスになるわけです。
日本語だとどちらも可能だと思うのですが、
英語では「come home」という動詞を「tiredly」にするというのは違和感があり、
慣用的に使われない、ということのようです。
【準補語】は「名詞」もOK
補語と同じで、準補語も名詞が来る場合もあります。
– After spending several years in the U.S, she came back a different person.
(彼女は米国で数年過ごし、別人になって帰ってきた)
– He went to war and came back a hero.
(彼は戦争に行って、英雄として帰ってきた)
– I can die a happy man.
(幸せな男として死ねるよ)
このセリフはトークショーで、「(女の人は高いヒールを履いて大変だね)僕は男で良かった」といった意味で使われていました。
【主格準補語】の例文
さあ、それでは他にどのように使われているか、例文を見ていきましょう。
– Everyone left the meeting exhausted.
(みんなどっと疲れて会議を終えた)
– My son came home so upset yesterday.
(昨日うちの息子がプンスカ怒りながら帰ってきた)
– Jack came to my place so drunk late at night.
(夜遅くにジャックが泥酔してうちに来た)
– He was born poor but died rich.
(彼は生まれは貧しかったが、富を築いて亡くなった)
– The wind will blow strong tomorrow.
(明日は風が強いでしょう)
【目的格準補語】の例文
– You may get sick if you eat potatoes raw.
(じゃがいもを生で食べたらお腹を壊すかもよ)
– I like drinking whiskey straight.
(ウィスキーはストレートで飲むのが好きです)
– I bought this bag really cheap.
(このカバンすごく安く買えたの)
– I always drink my coffee black.
(コーヒーはいつもブラックで飲みます)
*この時よく所有格(my)が使われる点に注目。
【準補語】としない場合
動詞がそもそも補語をとる動詞の場合は、準補語ではなく、普通の補語とする場合が多くなります。
– My dad painted the dog house white.
(パパが犬小屋を白く塗った)
– I like my coffee strong.
(コーヒーは濃いのが好きだ)
– Can you stand still?
(じっとしててくれる?
どれも補語なしでも文は完成しますが、不完全だとみなされるものです。
以上、準補語についてでした。
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